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2025/12/05new

大学院生による研究授業

| by 愛媛大学教育学部附属中学校
 12月5日(金)、1・3校時に2年生の二つのクラスで、大学院生が、古典の研究授業を行いました。
 今回取り扱ったのは、鎌倉時代に成立したと言われている「宇治拾遺物語」です。この作品には、197の説話が収められています。大学院生の方は全話を3度読み返して、その中から附属中の2年生と学ぶために「清水寺二千度参り」という話を選び、持って来てくれました。
 この話には、当時賭け事であった双六に負けた侍と勝った侍が出てきます。負けた侍は、渡すものがなくなってしまい、苦し紛れに「清水寺に二千回お参りしたことを証文にして渡そう!」と言いました。普通であれば、そんな物をもらっても……と思いそうですが、勝った侍はその証文を大変ありがたがって大切にしたそうです。
 その後の二人の人生がどうなったかと言うと、証文を渡した侍は思いもかけぬことで捕まって牢獄に入れられてしまいました。一方、証文をもらった侍は、結婚して裕福に暮らしました。そして、話の最後は「目に見えぬものなれど、誠の心をいたして受け取りたれば、仏、あはれと思し召したりけるなめり。(目に見えないものであるけれど、誠実な心を尽くして受け取ったので、仏様は、素晴らしいとお思いになったのだろう。)」と締めくくられます。

 今日の授業で生徒たちは、「この『仏』の判断は正しかったのであろうか。」について話し合いました。生徒たちからは、「正しかった派」からも、「正しくなかった派」からも、登場人物の言動や自己の経験を結び付けて、様々な意見が出てきました。
 1,000年前の説話を取り上げて、現代の若者たちと対話し、新たな価値を見つけていく素晴らしい取組だったと思います。目まぐるしく発展している現代社会ではありますが、新しいものだけを追いかけるのではなく、伝統的なものにも価値を見出していくことは、大切なことです。
 授業をしてくださった大学院生の方、ご指導してくださった大学の先生方、附中生に充実した学びの機会を与えていただき、ありがとうございました。










10:54 | 今日の出来事