問答ゲームは、本校の毎週1回、朝の時間に実施している論理的思考力と表現力を育成する取り組みです。ペアで「問う側」と「答える側」に分かれ、与えられたテーマについて2分間の問答を行います。その様子を隣のペアが1分間評価するという活動で、主張・根拠・理由付けを論理的に話すことを目標としています。
【活動の概要】
今回の問答ゲームでは、「なぜ?」の問いに論理的に答えることにチャレンジしました。前回に比べて、質問した人にとって納得のいく論理的な説明を心掛けるという条件が付け加わりました。
【今回のテーマ】
「合意形成が大切だと言われていますが、なぜ必要なのでしょうか?」
また、本校教員は、生徒の発言をより深く理解し教育に生かすため、AIを活用した発話分析に取り組んでいます。今回、ペアの会話内容をAIで分析しました。生徒の思考のプロセスや論理展開を可視化することで、より効果的な指導につなげています。
以下は、その分析結果を対話形式でまとめたものです。興味深かったため紹介します。
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【実際の対話内容】
A: 最近、合意形成の重要性について話し合った内容がありましたね。そもそも、なぜ合意形成が必要だと考えられているのでしょうか?
B: はい。挙げられている理由として、まずみんなの意思や意見を、全員で確認することが大事だという点があります。なぜなら、実際に活動を始めた後で不満が出てきたりしないように、今のうちにちゃんと意思を確認しておいた方がいいからです。
A: 事前の意思確認が、後のトラブルを防ぐということですね。また、全員が「いいね」と言える状態を目指す、という話もありました。
B: まさにそうです。みんなが「いい」と思わないと、不満が溜まってしまうことになります。不満が溜まると、みんなが「良い」と思って進めてきた方向に影響が出てしまうからです。
A: では、合意形成を達成するためには、具体的にどのような行動が必要なのでしょうか?
B: 意見をまとめるには、誰かの意見を否定するのではなく、受け入れたり、それをより良い案にしていくことが大事だとされています。また、みんなが意見を言えるように、誰でも発言できるような明るい雰囲気にすることも重要です。
A: 意見を出す雰囲気作りも大切なのですね。ただ、現実的に「みんながみんながいいなと思うもの」を作るのは難しい、という意見もありました。
B: おっしゃる通りです。その難しさに対しては、非常に意見が強い人や「これがいい」という人の意見を採り入れて、他の人が「これくらいならいいかな」ぐらいな感情で合意できる方向に進める、という方法も提案されていました。
A: 多数決についてはどうでしょうか?合意形成の話題でよく比較されますが。
B: 多数決も合意形成の対象として言及されてはいますが、ある意見としては、多数決では「合意形成は取れてない」と感じるケースもあるようです。なぜなら、なんか同調させられるみたいな感じの雰囲気が出てしまうことがあるからです。真の合意には至っていない可能性があるということかもしれませんね。
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今回の問答ゲームを通じて、生徒たちは主張・根拠・理由付けを論理的に話すことの大切さを学びました。合意形成には全員の意見を尊重すること、発言しやすい雰囲気をつくること、そして完全な一致が難しい場合でも、互いに歩み寄る姿勢が大切であることを確認しました。
本校では今後も、AIを活用した発話分析を通じて生徒の思考力や表現力を客観的に把握し、一人ひとりに応じた効果的な指導の実現を目指していきます。