令和3年度2学期終業式式辞 令和3年12月23日
本日で2学期が終わります。昨年から式辞のたびに新型コロナウイルスの話ばかりしていますが、夏休み以降9月中は本校でも多くの陽性者が出て、学級閉鎖、学年閉鎖を行いました。しかしながらワクチンの接種が進んだためか、10月頃から全国的に感染者数はかなり減少傾向にあります。
このままコロナが収束することを祈っていますが、オミクロン株への懸念もあり、また、冬は風邪やインフルエンザの流行の時期でもあり、その予防にも絶大な効果を発揮するマスク、手洗い・消毒、そして部屋の換気などはこれからもしっかりと取り組んでいきましょう。
2学期の終業式に当たり、私からは「修学旅行のお土産」という話をします。
修学旅行については、去年行けなかった3年生には本当に申し訳なく思っております。今年は実施できましたが、参加承諾書を提出させた9月の時点では、まだコロナの先行きが不透明で不安もあり、家庭の事情などから参加を見合わせる人が例年になく多くいました。そして、行先も沖縄ではなく東北ということで、やはり飛行機に乗りたかった、コバルトブルーの海が見られなくて残念、などと思った人が少なからずいたことでしょう。
旅行中はまずコロナ対策で、クラスの記念写真以外はマスクをはずせず原則マスク、新幹線やバスの座席は異動禁止、食事のときは学校と同様「沈黙の時間」という様々な制限のもとで行いました。けれども学校を離れた2泊3日の間、修学旅行ならではの沢山の思い出ができたのではないでしょうか。
旅行後、部活の後輩や先輩などから、また行けなかった人はクラスの友達から修学旅行のお土産をもらったという人が大勢いたことと思います。私もいつもお世話になっている教頭先生や事務室の方へお土産としてお菓子などの食べるものをお渡ししましたが、実は皆さんへのお土産として買ってきたものがあるのです。それは東日本大震災のときに地元の新聞社(河北新報社)が刊行した写真集です。
今回の修学旅行の大きな目的の一つは震災学習でした。10年前の2011年(平成23年)3月11日、1、2年生はまだ幼稚園か保育園、3年生も小学校1年生でしたから、それほど記憶は強く残っていないかもしれません。
もちろん私はよく覚えています。当時私は柏市教育委員会に勤めていましたので、夜遅くまで市内の学校の安全確認等の対応に追われ、翌日の朝は大勢の帰宅困難者が一夜を過ごした柏第一小学校で毛布を回収したりパンを配ったりしました。しかし、甚大な被害に見舞われた東北の現地の状況はテレビや新聞を通じて知るのみでした。
今回の修学旅行で、実際に津波に襲われたその土地を訪ねて、あの日々を生き抜いた方たちのお話しを直接伺うことができたことが一番の収穫でした。この貴重な体験は参加した皆さんたちにとって、自分自身への大切な心のお土産になったのではないでしょうか。そのときに聞いたこと、学んだことをお家の人に伝えて「お土産話」とした人もいたのではないかと思います。
最近、日本各地で震度3から4程度の地震が度々起こっています。昨日の新聞でも千島海溝、日本海溝沿いの巨大地震発生時の大変な被害想定が報道されていました。首都直下の巨大地震がいつ起こるとも限らないのです。ここは内陸だから津波は関係ないと思っている人もいるかもしれませんが、利根川と江戸川という二つの巨大河川に挟まれた野田は決して水害と無縁とは言いきれません。何よりも建物の倒壊、交通手段・交通網の麻痺そして電気・ガス・水道等のライフラインが断絶されることは間違いありません。
まずは自分の命を守ること、そしてお互いに助け合って生き抜いていくことなど、未曽有の大災害を想定し、心の準備をぜひ心掛けてください。
私のお土産の写真集は図書室に置かせていただきますので、よろしかったら見てください。
最後に、私から皆さんに1つだけ宿題を出したいと思います。年末年始とはいえ、コロナを警戒し安易に出歩かないこと、家で過ごす時間を大切にしましょう。そして、ぜひ本を読んでください。お勧めは皆さん方と同じような若者が主人公となっている小説です。基本は楽しむだけでいいのです。主人公の生き方と自分とを重ね合わせて、こんなふうに考えることもできるんだ、こんな生き方もできるかもなど、活字で描かれた世界に没頭すればそれでよし。「エネルギーをもらえるような小説と出逢って、1冊以上読むこと」、これが私からの宿題です。実は、去年も同じ宿題を出しました。3学期の始業式もこうして対面で行えたら、そのとき宿題の達成状況を確認しますので、そのつもりで。
来たる2022年、令和4年が「コロナを乗り越えられる一年」となるよう心から祈っております。ではまた、1月7日の始業式でお目にかかりましょう。以上です。