令和4年度 第2学期終業式 式辞
校長松田です。三つある学期の中で一番長かった2学期も今日で終わりとなります。3年生にとっては3学期の終業式はありませんので、これが最後の終業式ということになるわけですね。
2学期は一番長いというだけでなく、一番行事の多い学期でもあります。9月初めの文化祭に始まって、体育祭、芸術鑑賞会、長距離徒歩、2年生の修学旅行や進路に関する行事もありました。数日前には3年ぶりの防災訓練もありました。
本校最大の行事といっていい星央祭。夏休み中はコロナ禍もあって正直間に合うのか、と思っていましたが、最後には帳尻をあわせてくる野中生。短い時間ではありましたが、クラスの発表や部活動の発表など、とても良い笑顔をたくさん見ることのできた二日間でした。
スポーツ祭。天候にも恵まれ、部活動の盛んな野田中央らしい躍動感あふれるものでした。応援団も時間が限られる中頑張ってくれていましたね。これで、今年はできなかった全校応援ができるようになれば、もっと素晴らしいのだろうと来年への期待も持たせてくれました。
長距離徒歩。1年ぶりに開催された長距離徒歩は、みなさんにとって、正直過酷なものになってしまいました。完歩率は約4割となってしまいましたが、雨の中、仲間と手を取り合ってゴールする姿は、達成感と自信にあふれていて、見ている自分も胸熱くなる思いでした。残念ながら完歩とならなかった生徒もほとんどが関宿城まで到達していました。関宿城まででも20キロあるわけですから、あの悪天候のなか、20キロを歩きとおせただけでも、充分賞賛に値するものだと思います。
話は変わりますが、月曜日に幕を閉じたサッカーワールドカップ。時差の関係で夜中から明け方に試合があるので、寝不足が続いた人も多かったのではないでしょうか。我らが日本代表はドーハの悲劇の雪辱を果たし、見事決勝リーグに駒を進めましたが、決勝リーグでのPKが大きく話題になりました。森保監督は、PKのキッカーを立候補で決めたことの是非を問う質問が記者会見ででたようですが、実は森保監督が立候補でPKのキッカーを決めたのはこの時が初めてではありません。昨年行われた東京オリンピックでの準々決勝対ニュージーランド戦でもやはりPK戦となり、この時は真っ先にキッカーに名乗りを上げた一人目の上田あやせ選手のシュートが決まったこともあり、勝利しています。上田選手にとってみれば、最高の体験をしたことになりますね。
そして今回のワールドカップ。一番重要な一人目を決めるとき、5秒ほどの空白があったそうです。その末に「俺が行く」と手を挙げたのは南野拓実選手でした。結果は知っている人も多いと思いますが、残念ながらクロアチアのキーパーに阻まれ、得点はなりませんでした。勢いに乗れなかった日本は結果敗れてしまいます。南野選手はこの日を「人生で最悪な日」と話していたようです。
確かにこの二人にとってみれば、結果は大きく分かれました。しかし、南野選手は何かを失ったわけではないと思います。「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持つ者だけだ」という有名な言葉があるそうですが、南野選手はまさに勇気を持つものとして賞賛に値する経験をしたのでしょうし、この経験は南野選手のこれからの人生にとって大きな影響を及ぼすことになると思います。
話が長くなってしまいましたが、ここまで話せば言いたいことはわかりますよね。つまりは、積極的にいろいろなことを体験してほしいということです。
高校というところは、勉強をする場です。一日の大半を授業の形で過ごし、将来社会で役立てられるような教養を身につけるわけです。しかし、学校において教養を身につけることに並んで大切なことがあります。それは、様々なことを体験することです。人間は生きていくうえで様々なことを体験するわけですが、学校でなければ体験できないこともたくさんあります。日々の学校生活での友達や先生との何気ない会話や部活動での体験と並んで、多くのことを体験できるのが、先ほどお話しした学校行事です。
集団で一つのものを作り上げていく体験、全力を尽くすクラスメートをこぶしを振り上げて応援した体験、これまで経験したこともない長い距離を、足に豆をつくり痛い足を引きずりながら仲間たちとぶーぶー文句を言いながら歩いた体験。これら一つ一つが、学校でなければ得られないまさに得難い体験なのです。どれもこれも、みなさんの高校生時代を飾る思い出にあふれているのではないでしょうか。ただ、いい思い出に彩られた体験ばかりではないでしょう。友達のいやな面が見えて喧嘩をしてしまったり、声援に応えられず、良い結果を出せなかったり、もしかしたら行事そのものが苦い体験だった、ということもあるでしょう。でもそれもこれもひっくるめての体験なのです。
残念ながら人生はいいことばかりではありません。うまくいくときもあれば、失敗続きで挫折してしまうこともあります。でも、すこしでもうまくいくことを増やし、失敗してもダメージを少なくできたり、早く立ち直るために、生きてくるのが、様々なうまくいかなかった体験です。だからこそ、どれだけ多くのことを体験して経験値をあげられるかがものをいう、それがみなさんが生きていくこれからの人生です。
多くの体験を積極的にしていって欲しいと思います。文化祭にしても、体育祭にしても積極的に取り組んだのか、遠くから傍観者のように眺めていたかでは、経験値の上がり方は全く異なります。生徒諸君にとって、この2学期の経験値が大きなものであってくれればと願っています。
私からの話は以上です。