ぼくのニセモノをつくるには(自分を知ろう)
校長 松田 裕二
野中生諸君はヨシタケシンスケさんという絵本作家を知っていますか?最近は、様々なメディアで取り上げられる事も多くなってきましたし、漫才コンビの又吉直樹との共著も最近出版されていますので、知っているという人も少なくないと思います。
私が初めにヨシタケさんの絵本を知ったのは、小学校にあがる自分の子どもに薦めたい本を探している時でした。絵がかわいらしく、なのに少しだけ大人びた子どもが登場するので、小学校の図書館などにおかれていて、好きな本にあげる小学生も多いと聞きます。では小学生向けの絵本かというと、必ずしもそうではなく、高校生を含め大人が読んでも、共感できる部分が多いのです。
ヨシタケさんの作品に「ぼくのニセモノをつくるには」という絵本があります。本校の図書館にも収蔵される予定なので、是非手に取ってみてください。「ぼくのニセモノをつくるには」には、宿題や手伝いをしたくないので、ロボットに自分の身代わりをさせようとする男の子が登場します。ロボットの「ではあなたのことを詳しく教えて」という質問を受け、最初はうまく説明できなかったのですが、ロボットの質問でいろいろなことに気がつき始めます。好きなこと嫌いなこと、できることできないこと、小さい頃のこと、人から見た自分などについて。そして最後に自分はひとりしかいなくて、どうなっていくかは自分で決められるということに気がつくのです。自分のことを考えるのはめんどくさいけど、ちょっと楽しい、とも思うようになります。
さて、もうすぐ令和4年度が終わり、新しい学年が始まります。3年生は新しい学校、新しい職場での生活が始まりますね。そこで、この区切りのタイミングで、是非みなさんも自分という存在を見つめなおして欲しいのです。そして、自分がどうなっていくのが良いのか、そしてそのために何をしなければいけないのか、ということをしっかりと考えてほしいのです。そんなことしなくても自分のことはよくわかっていると思うかもしれません。ところが、実際は自分が思っている姿が周りからは違って見えたり、思っている姿と違うこともよくあるのです。様々な視点から自分をよく観察してみて、次のステージに向け大きく飛躍するための第一歩にしてくれることを心から期待しています。